この記事では、サブコンの施工管理についての実態について真実をありのままにお伝えします。
メーカー勤務後、サブコン(電気)現場代理人を経験した後、現在はゼネコンの設備担当をしている筆者が、サブコンがきついと言われる理由と体験談を書いています。
- 電気・設備の職人をしているけれども施工管理へのステップアップを考えている方
- 異業種で現在働いているけどサブコンの施工管理に興味のある方
サブコン(電気、設備)の施工管理がきついと言われる3つの理由
サブコンと言わず、建設業全般が激務と言われています。
勤務時間は長めで様々な人と板挟みにあい、精神的にも肉体的にも負荷は大きいと思いますが、自分次第で大きく改善できることもあります。
1.拘束時間が長い・激務
サブコン施工管理は拘束時間が長く、激務である ということは事実としてあります。
建設業でも2024年からは原則残業時間が月48時間以内にしなければならないのですが、現状としてその倍ほど勤務している人は多いです。
土曜日も現場が動いていることは多く、仮に1月間週休1日だとすると、土曜出勤4日では「8時間×4(土曜日4回)=32時間」がすでに残業となります。
これに日々の残業時間が入ると簡単に100時間程度はいきますね。
2.ゼネコンからのパワハラがひどい
近年ではたいぶ減ったとはいえ、ゼネコン(建築の元請業者)からのパワハラは未だにあると言われています。
なにを持ってパワハラかというのは難しいのですが、大声で怒鳴られたり「サブコンの癖に○○なんてするんじゃない!」といった言葉を浴びせられることがあるようです。
工程にも関わるのですが、「お前たちは残業してでも終わらせろ!」という建築の現場監督もいます。
ただし、現在はコンプライアンスに厳しくなっていますので、社内外に相談すると対応してくれることも多いようです。
3.他の業者の影響で工程がズレる
一般的に建築工事は建築が建物の枠や基礎を作り、それにサブコンが乗っかって仕事をするといった形になります。
そのため、建築の工程に左右されることが多く、自分たちのペースで仕事をするといったことは難しいです。
建築担当者と綿密な打ち合わせをしますが、最低でも週に1度、現場の最盛期は毎日工程のすり合わせが必要になってきます。
他業種との絡みがないか、どこを優先で作業するかなどを話あい、時には交渉をして工程を決めていきます。
サブコンが向いている人、向いていない人
向いている人の特徴
サブコンの現場監督に向いている人はずばり
電気、設備について興味があり、プロになりたいという気持ちがある人。
そしてコミュニケーションが苦にならない人です。
建築がいくら立派な建物を建てたとしても、電気・空調・衛生(水)が使えなければ、使えずにただのガラクタとなってしまいます。
近年では建築工事における電気・設備工事の比重は年々高まっているため、今後はますます重宝される存在になるでしょう。
また、コミュニケーション力は建築の担当や他業種との打ち合わせなどに必須で
コミュニケーションが苦手な人や体力のない人は向いていない
コミュニケーション(意見の調整)が苦手な人はサブコンの施工管理は難しいと思います。
サブコンの施工管理は元請の建築だけでなく、下請けの職人さんにも気をつかい、うまく現場をまとめていくことが要求されるためです。
また、前述しましたが労働時間が長く、場合によっては電線(見かけによらず重いんです!)や機器類を運んだりすることもあるため、体力がない方も難しいかもしれません。
サブコン施工管理の一日のスケジュール
1日の流れを簡単に時系列で記載します。
朝ははやめです。現場によって移動時間が異なるのでこれより早い場合もありますし、ゆっくりできる場合もあります。
移動時間中は仕事の段取りを考えたり、考えを整理することが私は多かったですね。
朝礼の前に1日の流れを再チェックします。
建築の担当者と軽い打ち合わせをしたり、はやくから来ている職人さんと軽く話をしたりします。
ラジオ体操の後、作業人員・作業内容・安全注意事項を発表します。
他職種も発表があるため、ここでしっかりと流れを確認します。
職人さんと現場にて打ち合わせをしてから、作業が始まるのを見届けます。
いろいろな職人さんからここはどう納めるか?など質問を受けたりします。
ぶっちゃけこの時間が一番大変です。
現場を巡回しつつ、安全書類や書類作成を行います。
昼礼の後、現場巡回の合間に図面作成、メーカーとの打ち合わせ
翌日の作業打ち合わせなど、打ち合わせをメインに行います。
職人さんは17時で概ね作業が終了するのでその後の現場確認を行い
建築の元請に対する作業終了報告などの書類を作成します。
帰宅したり、場合によっては現場の人と飲み会に行ったりします。
休みに関しては日曜日のみの週休一日が多いようですが少しずつ週休二日に近づきつつあります。
サブコンのよくある質問
どんな会社がありますか?
サブコンにも種類があります。
なお、工事としては電気・空調・衛生と分けられますが、空調と衛生は分かれていたり、同じ会社が行うこともあるため
ひとくくりとしておきます。
年収のランキングは?
例外もありますが一般的に建設業は労働集約型と言われていて、規模が大きいほど年収や待遇がよくなる傾向が強いです。
2024年7月に決算書を使用して実施した調査結果では下記のようになっています。
- 住友電設:860万円
- きんでん:848万円
- 関電工:817万円
住友電設やきんでん、関電工といった、上場企業ではやはり年収が高いのがわかります。
会社員として勤めるならばなるべく規模の大きな企業がオススメです。
サブコン施工管理歴5年の体験談
メリット①:体を動かすので健康的になる
サブコンの施工管理は、早起きして規則正しい生活を送る他、現場に張り付くことが多く気づくと体を動かしているので健康的になります笑
わたしもサブコンの施工管理を辞めてから少し太りました,,,
メリット②:ひとつの技術のスペシャリストになれる
大きなメリットだと思っているのがこれです。
電気・空調・衛生などの最先端の技術のスペシャリストになれます。
特に建築と比べると技術革新がはやく、追いつくためには勉強もたくさん必要ですが、自身の成長も大きく感じられると思います。
デメリット①:仕事量が多すぎる
サブコンの施工管理は激務です。
ざっと仕事内容をあげると
これ以外にも山ほど仕事があります。
サブコンの施工管理をおすすめできるポイントは?
ズバリ!ご自身の成長を一番実感できることです!
電気・空調・衛生などの専門スキルに加えて 建築の基本的な知識や法律、コミュニケーション力に段取り力など
大変な分、たくさんの経験ができるため、大きく成長できるでしょう。
わたし自身、サブコンの施工管理をする前はなかなか自分に自身が持てず、将来が不安だと日々感じていましたが、サブコンの施工管理を経て様々な体験をするうえで自分に自信がもてどんな職場で働いても生きていける実感を得られました。
また、工事中にも様々な方とコミュニケーションを取りますが、照明がついたり、他職種から頼られる存在になることでやりがいを感じやすいです。
建設業ならではですが、建物が竣工した後友達や家族に自分がやった仕事だと胸を張れるのもいいのではないでしょうか。
まとめ
ここまでサブコンの施工管理のメリットやデメリットなどをいろいろご説明してきました。
実際はきついことが多いのも確かですが、それ以上にご自身の成長ややりがいを感じられると思います。
建設業の中でもサブコンの施工管理は、専門スキル・コミュニケーション力だけでなく原価管理と呼ばれるお金回りの管理も2,3年目からは任されることが多く自身の成長を大きく実感できることでしょう。
ただ、激務であることと様々な人の板挟みにあい、精神的にもきついのは事実です。
もし合わないと思った場合は、わたしの現在の職であるゼネコンの設備担当や発注者など比較的ホワイトな仕事を探すのもいいと思いますよ。