電気は生活に欠かせないエネルギーです。
スマホの充電から住宅の照明、台所のIHクッキングヒーターから今では電気自動車や新幹線も電気のエネルギーがないと動かせません。
本当に便利な電気ですが、注意が必要なことがあります。
それは、身近な生活でも工事現場でも発生する可能性がある「漏電」です。
漏電といわれれば「あ~漏電ね」と感覚的にはわかるものの、実は原因と対策を理解できていない方がいます。
この記事では、漏電とは?から対策までわかりやすく説明します。
漏電とは?わかりやすく「電気が漏れていること」


漏電についてわかりやすく教えて。
漏電ていっても生活には影響ないのでは?
漏電とは「電気が漏れる」ことです。
電気が本来の通るはずのルート(回路)を外れて、違うところに流れることです。
- コントセント
- 照明やIHの電気品
- 一般住宅で使われているVVFケーブル
上記の製品は、電気を通しにくい材質で覆われています。
覆っているものを「絶縁物」といい、ゴムやプラスチックで作られていて、普段は漏電することはありません。
ところが、いくつかの原因でこの絶縁ができなくなると、電気が漏れてしまいます。
漏電は「電気が漏れる」だけでなく、人が触れることで感電する危険があります。
万が一感電しても、ビリッとしびれる程度で済めば良いのですが、大きな障害が残るほどの後遺症が残ったり、死亡に至るケースも珍しくありません。



電気は目に見えないから、感電は怖い
>>>「感電に注意!人の安全面の不安」を読む。
漏電の主な原因はなに?漏電火災になるの?





漏電の原因を教えて。
漏電の主な原因は2つあります。
- 電気品の経年劣化
- 電気の配線が劣化
上記の二つはいずれも経年劣化したことで絶縁が悪くなったことが原因です。
新品では絶縁されていた電気品も、長期間使用して古くなったり、ペットがかじったりして、被覆が剥がれたり亀裂が入ります。
亀裂が入ると、電気が漏れやすくなり事故につながるのです。
また、防水性のない電気品が水を浴びた時や、豪雨や台風による雨漏り、浸水があったときも絶縁が悪くなって漏電する可能性があります。



キッチンが古くなって、水漏れや結露をしているときは気を付けようね。
タコ足配線によって許容量以上の電気が流れた場合も漏電のおそれがあります。
コンセントとプラグの間にホコリが蓄積されて漏電する「トラッキング現象」は、火災につながりやすく非常に危険です。
その他は、
- 施工不良
- 電線のサイズが適切ではない
- ブレーカーの故障
- 洗濯機を取り換えたときにアースが外れていた
上記の場合は、気づかないうちに自宅で漏電が発生している可能性もあります。



漏電って怖い……
火事になることもあるのかな
東京消防庁予防部予防課の資料によると、一般の住宅だと年間1,000件の電気火災がおきているようです。
建物の建築年数を調査すると、30年以上経過した建物からの出火が33%となっており、10年以上経過した建物には注意が必要なのがわかります。
コンセントからの出火が原因で家が火災になっているケースが見られますので、普段から家の掃除は「コンセントのカバーまでキレイ」にしておきましょう!
>>>こちらの記事で、【トラッキング現象とコンセントのショート】を解説しています。


漏電の対策は漏電ブレーカーをつけること


漏電は住宅・工場・オフィスと場所を選ばずに発生する可能性があります。
漏電を防ぐためには、
- 漏電ブレーカーの設置
- 普段からお掃除と点検
最低限必要なのは、漏電ブレーカーの設置です。
漏電ブレーカーがあれば、万が一漏電が発生した時に電気を遮断し、被害の拡大を防いでくれます。



ほとんどのお家には漏電ブレーカーがついてると思うけどね~
コンセントの周辺もしっかり掃除をしてホコリを取り除くと、トラッキング現象を防げます。
- タコ足配線を避ける
- 電気配線を束ねたまま使わない
- 濡れた手で電気品(ドライヤー)を持たない
- 湿気の多い場所に電気品を置かない
「触れるとビリビリ痺れる感覚がある」といった時は、すぐに使用をやめて電気工事会社に調査を依頼してください。
漏電を放置するとどうなる?症状は?ビリビリするの?


「少しビリっとしたかもしれないけど、気のせいだったかもしれないから放っておこう。」
「めんどくさいしね」
それは危険です。人と設備の二つの観点からお伝えします。
感電に注意!人の安全面で不安
下記の表は電流の大きさによって人体に影響を与える症状の目安です。
電流の大きさ | 人の症状 |
0.5mA | 通常は無反応 |
1mA | ビリっと感じる |
5mA | 苦痛がある |
10~20mA | 筋肉が収縮して、動かせなくなる |
50mA | 相当危険 |
ビリっと感じるのは1mAとありますが、人はそのときの発汗状態で自分への電気が流れやすさが変わります。
今日は「びっくりした」で済んでも、次回が必ず「びっくりした」程度で済むかはわかりません。
特に水を触ったあとや、湿度の多い日、雨の日は気をつけてくださいね。



42Vを「しにボルト」ってゴロ合わせをすることがあるくらい、人は低い電圧・電流で死んでしまうことがあるんだよ
動かない!設備としての不安
ひとつの回路が漏電していると、漏電ブレーカーの取り付け場所によって他の回路が使えなくなります。
1つのコンセントが漏電しているせいで、ホーム分電盤のブレーカーがONできずにポットが使えなければ照明もつかなくて真っ暗。
そんな不安もあるのです。
すべてブレーカーが漏電ブレーカーがだったら良いのですが、残念ながらコストがかかることもあり、一般住宅ではメインのブレーカーのみ漏電ブレーカーのケースがあるので、チェックしてみてくださいね。


その他の漏電に関するよくある質問


その他にある質問を回答します。
漏電をすると停電しますか?
漏電した回路によりますが、基本的には漏電ブレーカーが動作した場合は停電します。
ひと言で「漏電」といっても漏電ブレーカーには動作する電流値が決められていますので、漏電していたら必ずブレーカーが動作する(停電する)ということではありません。
- 50mA漏電している⇒動作して停電する
- 10mA漏電している⇒動作しない
漏電の調べ方や原因がわかりません
配線や電気品が悪いケースがほとんでですが、特定するためにはひとつずつ絶縁性能を確認する必要があります。
一度ブレーカーをOFFにして絶縁抵抗測定で計測していきましょう。
回路が悪くない場合は、分電盤の中のブレーカーが故障をしている可能性もありますよ。


漏電しているところに水がかかるとどうなりますか?
程度によりますが、基本的には危険だと認識してください。
人も水がかかることで「人体の抵抗」が低くなります。
要するに、水で濡れている体は電気が流れやすく、たった数アンペアでも死ぬ危険性があるということです。
漏電調査を頼むと費用はどのくらいですか?
調査の費用は一概に言えませんが、時間単位で考えると良いです。
調査をして1時間で発見、解決できれば1時間の作業費(例:3,000円程度)で済むことがありますが、一日の場合は2万円~3万円かかります。
電気工事会社としても調査の場合は、事前に費用を算出するのが難しいので、不安な場合は、話し合いをしておきましょう。



他にも質問があったらTwitterのDMかお問い合わせフォームから連絡してね
まとめ:漏電は怖い、感電する前に電気工事士に!


電気は生活に必須な反面、目に見えないので怖い状況でも気がつかない現実があります。
少しでもコンセントから煙がでたり、ビリっと異変を感じたら、電気工事会社に連絡をしてください。
この記事をみて「電気って怖い」と思った方!
怖いと感じることができる人こそ、電気工事士に向いています!
Twitterをみると、「○○ボルトで感電した。ウェーイww」のようなツイートや、読者の目を引くための「電気工事士あるある。感電自慢」の記事があります。
しかし、感電することは自分の身を自分で守れていない証拠です。
怖さを知る者こそ、本当の勇者です。
電気工事士に興味があるという方は、電気工事士歴24年の僕がいつでも相談にのりますよ。
ご相談はTwitterのDMかお問い合わせフォームから気軽にしてくださいね。
電気のノウハウについてはこちらの記事でまとめています。