建設業における電気工事は常に高い需要があります。
未経験からも高収入を目指せるチャンスがあることから業界を目指す人も多く、毎年大勢の人が関連資格を受験しています。
その一方で、電気関連の工事はジャンルが細かく分類されています。
大きく分類するだけでも「電気工事」と「電気通信工事」に分けられますが、これらの違いについて知らない人も多いのではないでしょうか。
電気工事と電気通信工事は、それぞれ工事の内容と必要な資格が異なります。今回は電気工事と電気通信工事の違いと、それぞれを行うために必要な資格について紹介します。
電気工事をもっと知りたいあなた!
「電気工事士はやめとけ」を完全論破!業界20年のプロが理由と対策をもとに本音でアドバイスの記事で細かく説明しています。
電気工事と電気通信工事の違い
電気関連工事の分類である電気工事と電気通信工事は、対応する工事の範囲と規模によって分けられます。
電気工事は「一般家庭や施設の電気設備に関する工事」
電気工事は、送電線や配電盤、電力機器などの「電気工作物」を取り扱う工事を指します。電気工事を行うには電気工事士などの国家資格を保有していなければ行えず、また資格の種類によって対応できる業務屋規模が異なります。
主に以下のような工事が電気工事に分類されます。
- 住宅、商業施設、工場、ビルなどあらゆる建設物における電気の配線、電気設備工事
- コンセントや分電盤の増設
- 電化製品の取り付け・撤去
電気通信工事は「情報設備に関する工事」
電気通信工事はテレビやインターネット、電話といった情報通信に関わる設備の設置・移設・撤去を行う工事です。工事担任者などの国家資格所有者のみが電気通信工事を行え、また資格の種類によって対応できる業務に違いがあります。
主に以下のような工事が電気通信工事に分類されます。
- LAN設備の導入工事
- 携帯電話の基地局設営工事
- テレビ放送・共聴設備の設置工事
- 火災報知器、防犯カメラの設置工事
電気工事に必要な資格
電気工事を行うには専門的な知識と技術を要するため、一定の資格がなければ業務として行えません。またどのように電気工事に関わるかにより、必要な資格の種類や等級が変わります。
電気工事士
電気に関する設備の設営・撤去を行うための資格です。国家資格として認定されており、原則としてこの資格がなければ電気工事を行うことはできません。
また電気工事士資格は第二種・第一種に分類されており、対応できる電気工事の規模が異なります。
第二種は電圧600ボルト以下の一般住宅や小規模施設が対象。
第一種は電力5000kw未満の工場やビルなどを対象に設置・移設・撤去に関わる工事に従事できます。
電気工事士の仕事内容|種類や範囲から年収まで総まとめはこちらの記事をご覧ください。
電気工事施工管理技士
建造物の建築や増設にともなう電気工事の施工計画を立て、電気工事の監督を行うための資格です。自身が直接工事を行うかにかかわらず、現場の技術責任者としての重要な役割を担う資格です。
電気工事施工管理技士には1級と2級の等級があり、2級は請負金額4,000万円未満の工事しか請け負えない制限が課せられています。1級には請負金額の制限はありません。
施工管理技士補は男が一生使える困らない資格|新資格制度スタートで変わること
消防設備士甲種4類
消防設備士は、建物に設置する消防設備を扱うため資格です。設備の種類により細分化されており、甲種4類では火災報知器やガス漏れ警報などの火災報知設備の工事・点検・整備を行えます。
同じ4類である乙種4類も火災報知設備を扱う資格です。ただし乙種では工事は行えず、点検・整備のみまでしか対応できません。火災報知器などに関連する電気工事を行うには、甲種を取得する必要があります。
消防設備士の難易度の順番|初心者はここから効率的に攻略せよ!
電気通信工事に必要な資格
電気工事同様、電気通信工事は一定の資格を取得していなければ、工事に関わることはできません。また電気通信工事の種類と関わり方により、必要な資格の種類と等級が変わります。
電気通信主任技術者
電気通信設備の管理、設備工事の現場監督を行うために必要な資格です。この資格は「伝送交換主任技術者」と「線路主任技術者」に分類され、対応できる業務範囲が分けられています。
伝送交換主任技術者は、一定規模以上の事業用電気通信設備に関する業務に必要。線路主任技術者は光ファイバーや電話回線などの通信ケーブルに関する業務に必要とされます。
同名の資格であっても対応範囲は明確に切り分けられていますので、伝送交換主任技術者を取得しても電話回線の工事に従事することはできません。
電気通信工事施工管理技士
電気通信工事に専任技術者、主任技術者として従事するための資格です。インターネットに必要な有線・無線LAN工事、防犯カメラや入退室管理システムの設備工事など、現代社会に必要な通信設備の設置を主な業務としています。
令和元年に設立されたばかりの新しい資格であり、等級は2級と1級に分類されています。どちらも営業所における専任技術者、現場ごとの主任技術者になれますが、2級は請負金額が4,000万円未満の一般建設業に限定され、1級は4,000万円を超える特定建設業でも技術者として従事できるという差があります。
工事担任者
工事担任者は、通信回線に接続する端末設備の設置・配線工事の実施、または監督をするための資格です。アナログ回線を扱うアナログ通信とデジタル回線を扱うデジタル通信に分類され、それぞれが扱える規模によって第第一級と第二級に細分化されます。
なお、アナログ・デジタル両方の範囲の工事に従事できる総合通信が最上位資格です。
電話工事に役立つ資格|工事担任者の受験資格や難易度・受験料は?
まとめ
電気に関係する仕事にはさまざまな種類があり、それぞれの場所や役割で求められる資格が異なります。
ある程度領域が被る資格同士もありますが、多くは責任者に求められる高度な知識が必要とされる専門的な資格ばかり。それだけに取得できれば、建設現場や通信機器の設置工事の現場において活躍できるでしょう。
建設業界、工事関連の職種に転職したいなら、自分が目指す役割に必要な資格取得を目指しましょう。
こちらの「電気の国家資格は何がある?あなたの興味分野と合格率を総チェック!」の記事もおすすめです。