この記事は、建設業の関係者が集まって話し合ったオフ会の内容を記事にしています。
すぐに若者離れについて知りたい方は、こちらからジャンプしてくださいね。
建設業は40歳でも若手と言われるくらい人材不足が叫ばれています。
でも、本当に建設業の若者離れは当たり前なのでしょうか?
Twitterのスペースをきっかけに巻き起こった論争に決着をつけるため、建築士、設備設計、現場監督、ビルメン・・・・・・現場の一線で働く猛者8人が集結し、仁義なき討論会が開催されました。
今回の結論は、「魅力を発信すれば若者だって建設業に入ってくる」「辞めて当たり前なんてことはない」です。
建設業はかっこいい!
入社してくるんだから、魅力はある業界なんだよ。
この記事を読めば、若者離れの実態とこれからの建設業の先行きが見えてきますよ。
会社の中だけでは手に入らない生の情報が、ここにはありました。
建設業の関係者が横浜に集結
決戦の地は横浜。横浜モアーズの屋上「食べ放題BBQビアガーデン」で開催されました。
横浜モアーズの場所
横浜モアーズは横浜駅西口にあるショッピングセンターで、横浜駅からのアクセスが良く徒歩3分程度でビルの中に入ることができます。
今年(2023年)は4月13日からビアガーデンがオープンしていて、屋内、屋外とも楽しめる開放的な場所です。
集結したメンバー
ガテン系の者どもにふさわしい「食べ放題BBQ」というパワーワードとビアガーデンというエネチャージスポットのパワフルてんこ盛りコースです。
日没とともに、横浜の強風にのって猛者どもが集まり始めたんだ
そして集まった20代から50代の8人。
普段他の業種の人と接するときは基本的に仕事ですが、今回は完全オフで集まっていますので、利害関係なく意見交換ができる期待が胸を躍らせます。
そしてはじまった
一見しゃれた店内に心の動揺を隠しながら、自己紹介もそこそこにして、黄色や白の潤滑剤の投入します。
お互いリアルでの面識がほぼない状態ではありますが、Twitterでの交流が盛んだったために初対面とは思えないほど自然な交流が始まりました。
ちなみに、上の写真の中央下、電気屋のヘルメットカラーのような黄色の液体をもっているのが僕です。
こちらも左上、紺のジャケットで黄色い液体をもっているのが、当サイトでもライターとして活躍する「たなか」さんです。
たなかさんは、当サイトで「サブコン(電気、設備)の施工管理はきついって本当?歴5年の筆者が向いてる人の特徴を紹介」の記事を執筆しています。
それでは、次の「建設業の若者離れは当たり前?」から真面目な話をお伝えしていきます。
建設業の若者離れは当たり前?若者が建設業を辞める3つの理由
会社規模にもよりますが、話を聞くと建設業にも新卒で入社してくる人も多くいます。
「志をもって入社してきたのに、なぜ辞めてしまうのか?」3つの理由を導きだしました。
1.昔ながらのブラックな体質で時間外労働をさせている会社が多い?
学生時代から学校の先輩からも噂話できくことがある職業事業。
その中には「うちの会社はやばい」「徹夜で図面を書かされてる」というアドバイスもあります。
業界に詳しくない人からみたら同じ業種の仕事でも、実際に働いている人の話を聞くと会社の規模や特徴によって仕事の内容やブラック度合いはかなり違います。
同じ業種でも定時で帰れる会社もあれば、残業を45時間(便宜上)としている会社もあるんだ。
ひとつの会社だけを見て職業すべてを「悪」と捉える人がいますが、建設業においては会社によって待遇の振れ幅が大きいので、入社前のリサーチが重要になります。
待遇の良い人は、妬みのネタになるような「うちの会社はサイコー」とは言いませんので、必然的に「この仕事はブラック」「あの職業はダメ」という声が大きく聞こえます。
自分一人でリサーチが大変な場合は、転職エージェントを活用するのがベストです。
会社選びは誰もが初心者ですし、客観的に他の人の意見を取り入れた方が気づきが多くなりますよ。
2.軍隊か?パワハラのイメージが強い
会社の方針にもよりますが、中途採用者は即戦力!という名のもとに入社後すぐに現場に放り出される事例がありました。
新卒の場合は教育システムが整っていても、中途採用者には厳しいというのは一見不公平感がありますよね。
新卒と一緒に教育を受けたいって話ではないけど、ある程度の塩梅(あんばい)は必要だよね。
30代や40歳ちかい人の場合は、負けん気根性で初期のツライ現場を乗り越えられます。
しかし、20代で社会人経験が少ない人の場合は「せっかく転職をしてきたけど、会社のこともわからないまま放り出されてモチベーションがあがらない」という人もいるのは当たり前です。
中途採用者は新卒と比べてお給料が良いとはいえ、転職先でいきなり実力を発揮できる人は希です。
転職を考えている場合は、面接で応募先の会社の教育システムや中途採用者が現場を持つビジョンを聞くのが大事になるんだね。
中途採用の場合は、ある程度は自分の実力がためされる世界。とはいえ、会社に馴染むまでのアイドリング期間は必要なのかもしれませんね。
3.鬼のようなクソ老害の存在
コロナ禍による在宅でのリモートワークをはじめ、昔は手書きだった図面も今ではCADや共有システムを使ってWEBで完結する時代です。
しかし、建設業界・ビルメン業界では古い慣習が多く、鬼滅の刃の鬼舞辻無惨様くらい変化を嫌うご年配のみなさまがいらっしゃいます。
ひと言でいえば老害。
老害はいつも「やらない言い訳」を探してる。
「俺はこのやり方でやってきた」
「もう歳だから新しいことはできない」
「俺の方が経験があるんだから従えばいい」
刑事ドラマのデカは「俺は泥臭く、革靴をすり減らして足で情報をとってくるんだ」といいますが、正直それってドラマですよね。
会社の舵取りは年配のケースが多くありますが、会社のこれからを作っていくのは若手です。
年配のルールを押しつけられるよりも、若手が自分で考えたルールの方が「自分で考える力」「改善する思考」が高まって「至高の領域」に入れると思いませんか?
でも会社によっては鬼(年配者)と人間(若手)が共存できる世界線があるよ。
オワコンはウソ!資格取得とキャリアプランの実態
建設業で切っても切れない関係にあるのが資格の取得です。
現役で働く皆さんに、働き方やキャリアプランについて話を聞きました。
一級建築士として名前の残る仕事
設計を手がける方にお話を伺った際に印象的だった言葉のひとつに「一級建築士の資格取得は必須」というものがありました。
姉歯事件(耐震偽装問題)依頼、一級建築士の試験は難しさを極めています。
一級建築士を取るには、資格の学校に通ったりオンラインで通信教育を受ける人がほとんどで、資格取得費用の総額は100万円とも200万円ともいわれています。
資格をとるのってお金がかかる。
しかし一級建築士として誇りを胸に、図面に自分の名前を入れる瞬間を想像しながら勉強に励んでいる姿は、日本人の好きな美学そのもの。
人命に関わる仕事だからこそ、簡単ではなく責任も発生します。
人によっては「無理にそんな仕事に就かなくても良いのでは?」と思うかも知れません。でも、ホッコリとした笑顔をみせるその人を前に僕は口をつぐみました。
設計は誰もができるわけじゃない。
だから価値がある。
こんな仕事、AIに負けるわけがありません。
【神の領域に足を踏み出す男】建築から設備設計へ
建築のキャリアがありながらも設備設計の方とお話をしたときに感じたことです。
その男は、建築出身でありながら僕の専門分野である電気工事にも詳しく、現在は設備設計の勉強をしているとのことです。
電気工事の中でも、住宅の電気工事屋さんやビルの内線屋さんではわからないシーケンス回路の話も楽しくできたうえ、鉄骨工事に必須の溶接の種類や知識も豊富。
ひと言で電気工事といっても種類があるんだよ。
ゼネコンの設備担当やプラント電機の違いは別の記事を見てくださいね!
ゼネコンの電気工事はビルを作るための照明などの電気工事で、プラント電機は工場の生産ラインやゴミ処理場の電気工事です。
僕自身、25年の電気工事経験があり、多岐にわたる人と会い、お勉強とは違う使える知識を蓄電(蓄積)してきたつもりではいました。
しかし、キャリアには終わりがなく、また知識の共有は刺激的です。
人によっては、電気工事から建築設備士の資格取得をめざし、いずれは一級建築士を・・・・・・という方もいたので、これからの時代は型にはまらない多様性も重要だと感じました。
チャレンジをすれば道は開ける。歴25年の僕も気づかされた瞬間でした。
そこに山があれば登るように、目指すものがあれば身につける。
そして、神になる。
シーケンス回路とは、順序立てて回路に電気の流れを作ることです。
例えていえば、順番に電気が流れていくピタゴラスイッチみたいなものです。
(下記は建築に付帯する消火栓設備です。仕事柄、こういった設備は目にとまりますねw)
設計として住まう人の未来を支える仕事
設計さんも会社によって業務の幅や深さは違います。
正直、建築士さんは「建築士」としか知らなかったけど。
ビルや公共施設の意匠設計と住宅の設計は幅が違うようで、住宅の設計は建築部分だけでなく電気工事や配管工事の図面を描いたりチェックをする必要があります。
転職をして現在の設計会社に入社した人の話を聞いたのですが、「最初は手伝いから」のような形で社長さんとの関係や仕事のやり方の距離を詰めたとのこと。
実際に一緒に仕事をしながら距離を詰めるのは、難易度が高いけど理想的だよね。
建築士の種類はデザインをメインになんでもこなす意匠設計と耐震計算などを行い建物の骨組みを作る構造設計の2種類があります。
リクナビNEXTが実施した社員が「退職理由ランキング」の上位は、退職理由のほとんどが人間関係です。
引用:リクナビNEXT
規模が大きく人数が多い会社であっても、結局は「部署の中では少人数の村社会」というケースも往々にしてあります。
今回お話を聞いた方は、比較的小さい規模の会社に所属していましたが、話を聞いて「仕事は人と環境だな」と再認識させられました。
人をみて、人の住む住宅を設計する仕事をする。それってステキだよね。
【建設業は人である】3つの設計の柱
今回お話をきいた方から教えてもらったのですが、建設業の3つの設計の柱をご存じでしょうか?
それは、下記の3つです。
- 意匠設計
- 構造設計
- 設備設計
この3つは「人」に例えることができるとのこと。
意匠設計は人の外観、身なりを整え、構造設計は人間の骨格である。また設備設計は血液であり、大事な器官である。
僕たち建設業は、20年以上前は「建築が上で、現場で電気屋とか設備屋は下」に見られることが多くありました。
でもどうでしょう?1人の人間の中で上も下もありませんよね?
俺、皮膚はただれてていいから血をくれとか。
とりあえず骨折さえしなければ服は着なくていいとか。
そんなことありえない。
お互いが尊重してつくる。だから発注者(施主)も施工者も、将来にわたって使うユーザーも三方よしの良い建築物ができるのだと感じました。
覚えておいてください。
3つの設計と、設計をもとにした工事で『建設業という人』は成り立っているのです。
建設業が身近になって、なおかつカッコイイ!
まとめ:熱く語れる仲間がいる建設業は将来性があるに決まってる
下記は、討論会翌日の横浜市中区にある通称「関内」の朝の様子です。
ひと晩がたち、晴れた空に僕は思いました。
建設業ってだけで集まって、始めて会う人同士でこんなに話すことある?
気をつかって肉を持ってきてくれる人や聞き上手な方ももちろんいました。
ただ、基本的には8人全員が忌憚なく意見交換をして、仕事に前向きなんだと感じざるを得ませんでした。
このような年齢や業種を超えてあつまって話をする猛者どもが生息する建設業が良くならないわけがありません。
そんなことないでしょ?
魅力、もっと伝えていきましょうよ!
どんなにいいことも、発信しなければ相手には伝わらない。
今回お話を伺った皆様、本当にありがとうございました。再度、下記に参加者を掲載いたします。
ご協力いただき、本当にありがとうございました。
当サイト『電気工事士デポ』は、建設業・電気工事士の集い、集まる場所をめざし発信をしています。
今回は『電気工事士デポ公式Twitter』をきっかけに建設業の他の業種の方とお会いして話をきくことができたので、少しでも建設業に興味がある人はリプしてくださいね。
建設業や電気工事について、「自分はこう思ってるよ」って人はTwitterのリプやDM、こちらのWEBサイトのお問い合わせフォームで教えてね!