電気工事の施工管理・現場監督の仕事はビルの照明を取り換えたり、コンセントの取り付けをする身近な仕事のイメージがあります。
通称「箱物(ハコモノ)」と呼ばれていて、電気工事の中でも「建築電気」に分類されます。
同じ電気工事の仕事をしていても、僕の従事している電機メーカーとは、仕事の内容や気を付けるポイントが違うものです。
今回はゼネコン設備担当のたなかさんと僕がTwitterのスペースを開催した様子を記事にしました。
二人とも転職をして、ゼネコン設備担当と電機メーカーの仕事をしているんだよ~
この記事を読めば、漠然としたイメージだった電気工事から、自分の目指す電気工事を見つけることができますよ。
電気工事の実態を知りたい方は「電気工事士はやめとけ」を完全論破!業界20年のプロが理由と対策をもとに本音でアドバイスの記事をみるのが◎
30秒だけでも読んでみてくださいね。
建築電気工事の施工管理の仕事内容は?
ゼネコンの設備担当の仕事を教えて。
ゼネコンの設備担当ってイメージよりも事務所での仕事が多いんです。
現場では主にサブコンのとりまとめをしています。
- 建築のペースに合わせる
- サブコンの担当者と打ち合わせを密にする
- 現場が流れていれば事務所で仕事OK
ゼネコンの現場では、どうしても建築が強くなり、工程が建築によってブレることがあります。
特に、長期に渡って仕上げてきた工事の最終段階では、設備担当が繁忙期になり、残業時間が増えることも。
それでも、時期によっては1週間に2.3日は事務所にいることも可能なので働きやすいですよ。
プラントエンジニアリング(プラント電気工事)の仕事内容
電機メーカーの電気工事ってどんな仕事?
建築電気との一番の違いは、メーカー・製品の視点で仕事をすることですね~
僕、リベルタは現在は重電の電機メーカーに勤務していますが、実は前の会社でも電機メーカーの下請けとしてメーカーの仕事をしていました。
メーカーの仕事とは、
- 自社の製品(盤などの機器)を納入するために工事を行う
- 自社が元請けになって電気業者だけでなく土木業者に発注する
- 現場を例えると水処理施設
- 箱物のように「俺が作った感」は少ない
- 建物はそのままで機器を新しくする物件がある
受注段階から営業と一緒に提案活動をすることも多く、乗り込みまでのリードタイムが長い印象があります。
楽しいところは、自分の采配で現場を動かし、多種多様な業者間の調整ができることです。
- 受注の提案活動
- 仕様変更への対応
- 受注
- 工事設計(計算書、施工図の作成ほか)
- 下請け業者、材料、機器の手配
- 現地工事
- 竣工検査
上記のフローのすべてのことを一人が通して担当することになります。
会社の風土や上司の意向があるとは思いますが、現地での責任を負い、裁量を与えられて仕事を任されるのはやりがいのある仕事です。
中途で入社しましたが、理解ある上司の下で仕事をできているおかげで、自由気ままに現場の予定を組んだり休暇をとることができています。
その代わり、現場が県をまたいであるので、移動時間が多くあります。
転職して、休みは3倍、給料は1.5倍以上になったよ~
休みの日は、好きなブログを書いてるんだ。
転職するときには、以前の同僚に「大企業は冷たくて、中小企業の方がアットホーム」と言われましたが、会社によって違うので、実際は関係ありませんでしたね。
建築電気とメーカー電気担当の違い(ふたり)
建築電気とメーカーの特徴を比べると下記になります。
同じ電気工事の仕事なのですが、収入のポイントが違うので、特徴が違ってきます。
建築電気が大規模な物件を担当し、ひとつの現場ごとに収益を上げるのに対し、メーカーは納入後のメンテナンスも含めてひとつの事業として捉えています。
インフラとしての水の流れで例えると下記のツイートになります。
浄水や配水といった、あなたの家に水を届ける仕事がメーカーとしてのプラント電機の仕事です。
建築電気の建物で照明が灯り、生活が豊かになり、電気を使っている人はインフラのありがたさを実感します。
トイレで水を流した先にも、浄化センターの設備で水をキレイにして放流しているのがメーカー(プラント電機)の役割なんだよ。
リスナーさんからの質問・意見
対談の際にリスナーさんから届いた質問や意見にお答えしました。
資格を取った経緯は?
ゼネコン設備担当の場合
お客様に安心して任せてもらえるからです。
仕事をしていくうえで、資格をもっていると「この人はしっかりしている。安心してお任せできる」相手からしっかりした人だと見てもらえます。
資格をもっていることで、相手にある程度はわかっている印象を与えることができるので、資格の取得に踏み切りました。
メーカー工事担当者の場合
僕は24歳で1種電気工事士、翌年度に1級電気施工管理技士を取っています。
資格をとった経緯は、はっきり言ってコンプレックスの負のオーラですね。
僕が職人から施工管理の仕事に転職したときに、周りは大卒ばかりで、大卒というだけで給料が5万円違いました。
毎日定時ダッシュの事務員さんよりも、僕の給料は安かったです。
「負けたくない」って気持ちがあり、「学歴はどうにもならないけど資格は今からとればいい」と思って勉強を始めました。
当時は高卒が第一種電気工事士をとるためには5年間の実務経験が必要でした。
第一種電気工事士の免許を受験資格に施工管理を受験したため、僕は最短ルートで二つの資格を取得しています
どうやって仕事と資格の勉強を両立したの?
ゼネコン設備担当の場合
自分の勉強するスタイルをみつける。
「どれだけ自分で時間をつくるか?」というのが結局のところ大事になってきます。
あとは自分の勉強するスタイルをみつけるのが非常に大切です。
僕の場合は、勉強するのは通勤時間の電車の中と決めたので、行も帰りも電車の中では全部を勉強に費やすようにしました。
その分、家に帰ってからはザザッと復習をする程度にしました。
おそらく、人によっては家でしっかりやって電車の中をゆっくり過ごすのも良いと思いますので、大切になるのは、やはり自分のスタイルだと思います。
メーカー工事担当者の場合
まわりの目は気にしない!
いつも過去問題集を持っていました。
僕は会社の寮に住んでいたので、人が足りなくなると土日関係なく呼ばれてしまいます。
ですから車の中で勉強をしたり、少し時間ができれば地元の図書館にいって、外界から遮断するように勉強をしました。
「あいつ必死で勉強やってるよ」
そんな声が聞こえてきたこともありますが、負のオーラをまとって見返してやるために、まわりの目は気にしないことにしました。
具体的な勉強方法としては、いろいろ試しましたが
- 過去問の対策
- 1ページに時間をかけすぎない
- どんどん読んでわかるところで点数をとる
- テキストの回転率を高速にする
上記のことに気をつけて勉強をするのが、効果があったと感じています。
電機メーカーって中途でも採用されるの?
資格があれば意外といけます!
電機メーカーの中途採用枠は多いものではありません。
しかし、元請けで仕事を受注するためには入札に必要な資格をもった人材が必ず必要になるので、チャンスはあります。
特に景気が良いときには、「仕事があるのに資格を持っている人が少ないから仕事がとれない」状態です。
景気が良くて自分も忙しいときにこそ、行動に移すのが成功のカギになると考えています。
ゼネコンで中途採用されて辛かったことは?
辛かったこと……あ、あまりないかも
ゼネコンに入って「めっちゃ辛いなぁ」と感じたことはほとんどありません。
大変だなと思ったことを挙げると、構造について勉強しなければいけないことです。
僕自身のキャリアとしてゼネコンの前に建物の改修工事を担当していました。
ゼネコンでは新築工事が多く、建物の構造を設備担当も慣れていかないといけませんが、正直、構造計算は電気工事とは違う世界だと感じます。
仕事内容としては前職でも現場代理人業務を担当していたので、大きくは変わっていない印象です。
ゼネコンとしての立場はあるけど、仕事の内容の違和感ありません。
「こいつ電気知ってるな?」と思われるポイントは?
リスナーで聞いてくれていた発注者の方からご質問をいただきました。
建築電気の勉強をしたいけど、受注者から「こいつ電気を知っている」と思われるポイントを教えて欲しい。
お話の中であった回答は、下記の3つです。
- 工程を気にかけてくれる
- 機器電源の容量に変更があったときに教えてくれる
- トラブル対応のケーススタディを一緒に考えてくれる
工程や電源容量を気にかけることは、電気に関わらずひとりの担当者として信頼できるパートナーになります。
「知っている」と思われることは大切かもしれませんが、全面に出すよりも”お互いに作りあげていく感覚”の方が良いかもしれませんね。
二人の施工管理のプロが電気工事の将来性を語る
電気工事の将来についてや以前の体質から変化していることを話しました。
メーカー(プラントエンジニアリング)の意見
10年。20年で考えてもインフラはなくならない。
でも、2年、3年の短期的に注意が必要と思うんだ。
今までは○○製作所とか○○電機といえば仕事がとれていた時代だったかもしれません。
でも、コロナ禍で工場が止まって製品が入ってこないと、一部の製品について発注者も気がついたと思います。
製品が遅れるくらいなら、どこのメーカーの製品でもいいよね?
結局は人なのです。
スキルも大切ですが、発注者や業者さんとコミュニケーションをとって仕事を進めることできれば、個人としての生き抜く力がつくと考えています。
ゼネコン設備担当の意見
以前の電気工事は建設現場の中での立場が弱いことがありましたが、今は改善されてきています。
ゼネコンの社内だけでなく、業者さんに対しても理不尽なパワハラは減ってるよ。
ゼネコンの設備担当では、電気工事の他にも通信工事を担当することがあります。
特に通信工事の分野はセキュリティが加速している時代背景からも、今後伸びていくと期待しています。
設備担当では女性の技術者も採用されてきていますし、人材を確保しつつ業界を盛り上げていって欲しいですね。
まとめ:電気工事やろうぜ!
今回はゼネコンで設備担当(建築電気)に従事しているたなかさんとメーカーの電気工事(プラントエンジニアリング)を担当している僕が、電気工事の種類を話しました。
今回感じたことは「電気工事は奥が深い」ということ。
僕は建築電気への転職を考えたことがありますが、転職をしていたら恐らく今の成功はなかったと感じています。
電気工事で一括りにしないで、自分にあった働く場所、職種を見極めるのが大切なんだ。
でもきっと、今回のような交流がもっと盛んになれば、建築電気とメーカーがお互いの橋を渡って共存できる日も近いと感じました。
24年経験してきた電気工事の世界もまだまだ広い!
「人生にしびれる刺激」を感じたい人は、ぜひ電気工事にチャレンジしてくださいね。
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