エネルギー管理士は、設備に関わる資格の中では難関資格に含まれており、電気主任技術者、建築物環境衛生管理技術者に並ぶ「施設管理三大資格」のひとつに数えられています。
そんなエネルギー管理士になるには、どの程度の勉強時間が必要なのでしょうか。今回はエネルギー管理士試験の概要と、試験突破の対策についてご紹介します。
でも自分ひとりで勉強を続けていけるか不安・・・・・・
独学でなんども失敗してしまうと、結局お金も時間も無駄になってモチベーションが下がってしまいます。
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<プロフィール>
名前:前田埋也
- 早稲田大学大学院卒
2016年に大学院を修了後、非鉄金属系メーカーへ入社。
金属製錬工場における設備保全・エンジニアリングの業務に従事。2022年に化学系メーカーへ転職。発電プラントを主として同様の業務に従事。
保有資格
- エネルギー管理士
- 第二種電気主任技術者
- 第三種電気主任技術者
エネルギー管理士とは
エネルギー管理士は、熱や電気といったエネルギーを管理する国家資格の名称であり、専門的な技術を持つ専門職のひとつです。かつては「電気管理士」「熱管理士」という2つの資格に分かれていましたが、1997年の「エネルギー使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」改正により、エネルギー管理士の資格に統合されています。
省エネ法の改正により、熱や電気といったエネルギーの年間使用量が原油換算で3,000kl以上の工場は「第一種エネルギー管理指定工場」に指定されるようになり、エネルギー管理士を配置することが義務づけられました。
また第一種エネルギー管理指定工場のうち「製造業」「鉱業」「電気供給業」「ガス供給業」「熱供給業」に属する業者は、エネルギーの使用量に応じてエネルギー管理士を1~4名を配置するよう定めたため、エネルギー管理士の需要が大きく高まりました。
なお、エネルギー消費量が1,500kl以上の第二種工場にはエネルギー管理士の配置義務はありませんが、可能な限り迎え入れるように推奨されています。
これらのことから、エネルギー管理士は限りあるエネルギーを有効に活用できるよう、非常に重要視されている役割であることがわかります。
エネルギー管理士は工場運営において、重要な資格の一つです。国家資格の中でも管理を担う人材が取得するため、難易度も高い資格となります。
ただし、製造業の大手メーカーでは需要が高く、転職や昇進において有利になるのが特徴です。
エネルギー管理士になる方法
エネルギー管理士は国家資格であり、一定の条件を満たせば国に認められて資格を得られます。
エネルギー管理士になる方法は大きくわけて2つ。どちらの条件を満たしても、同じエネルギー管理士の資格を得られます。
方法1. エネルギー管理士試験を受ける
一般財団法人省エネルギーセンターが主催する「エネルギー管理士試験」に合格すれば、エネルギー管理士の資格を得られます。
この試験の内容は電気分野・熱分野に分かれており、受験の際にどちらかを選択します。それぞれ4つの課目に分割されており、合格にはすべての課目で60%以上を正解しなければなりません。
▼電気分野の試験科目
引用:ECCJ 省エネルギーセンター (https://www.eccj.or.jp/mgr1/test_guide/chap_01.html)
エネルギー総合管理及び法規
電気の基礎
電気設備及び機器
電力応用
▼熱分野の試験科目
エネルギー総合管理及び法規
熱と流体の流れの基礎
燃料と燃焼
熱利用設備及びその管理
受験資格はなく、年齢や学歴、経験を問わず受験が可能です。
試験は年1回行われており、例年8月の第1・2日曜日が試験日となっています。
試験はマークシート方式です。
この試験は科目合格の制度が設けられており、すべての課目を合格できなくても、60%以上の正解率の課目の合格は次回の試験に引き継げます。
ただし課目合格の有効期限は3年以内とされており、この期間中に全課目を合格できなければ課目合格は無効とされ、再受験する必要があります。
また、全課目合格者には試験合格証が発行されますが、エネルギー管理士の免状の交付には、エネルギーに関する実務1年が必要です。この実務経験は受験の前後どちらで積んでも構いません。
方法2. エネルギー管理研修を受ける
省エネルギーセンターが主催する「エネルギー管理研修」を受け、修了試験に合格すればエネルギー管理士の資格を得られます。
この研修も試験同様に電気分野、熱分野のどちらかを選択。4科目それぞれにおいて、1時限あたり40分の講座を6~23時限受講します。
- エネルギー総合管理及び法規 9時限
- 電気の基礎 6時限
- 電気設備及び機器 12時限
- 電力応用 23時限
- エネルギー総合管理及び法規 9時限
- 熱と流体の流れの基礎 16時限
- 燃料と燃焼 7時限
- 熱利用設備及びその管理 18時限
約1週間の研修期間終了後に修了試験を受け、各課目60%以上を正解すれば研修修了です。
受講資格はエネルギー管理の実務経験が3年以上の方のみとされています。試験同様に課目合格の制度がありますが、合格を引き継げるのは翌年までと短めです。また修了試験はマークシート方式ではなく記述式となり、難易度は試験よりも高めとなっています。
なお、試験と研修後の修了試験は別の制度であるため、試験で課目合格していたとしても、修了試験の課目免除はできません。
エネルギー管理士試験の難易度
難関試験といわれるエネルギー管理士試験は、実際にどの程度の難易度なんでしょうか。試験の合格率と、必要とされる勉強時間から見てみましょう。
試験合格率は30%程度
令和2年度8月に行われた試験では、受験者7707人中2828人が合格。36.7%の合格率でした。1997年の新制度施行以来、平均して30%前後を推移しています。
電気より熱の合格率が高い
エネルギー管理士試験の合格者は、電気分野がおよそ20%前後、熱が35%前後で推移しています。合格率だけ見れば熱分野の合格率が高めですが、毎年必ずこの傾向にあるわけではなく、電気分野の合格率が高い年もあります。
そのため、必ずしも熱分野の方が簡単で合格しやすいとはいえないでしょう。
エネルギー管理士試験合格への勉強時間
設備系難関資格に数えられるエネルギー管理士試験に合格するには、十分な勉強時間と対策が必要です。
闇雲にただ勉強をすれば合格できるという資格ではありませんので、計画的に勉強時間を捻出し、適切な教材で試験対策を行いましょう。
必要勉強時間は300~500時間
エネルギー管理士は熱・電気に関する専門知識だけでなく、法令に関わる知識も問われる資格です。課目合格を最大3年活用できることからも、簡単に合格できる資格ではないことがうかがえます。
全くの未経験から試験勉強を始めるなら、受験までに300~500時間は確保したいところです。ただし電気工事士が電気分野に挑む場合のように、共通した知識や資格をすでに持っているなら、合格までの勉強時間を短縮できるでしょう。
試験対策は過去問を中心に
試験勉強は過去問へのチャレンジを中心に行うとよいでしょう。
知識を蓄えるだけでなく出題の形式に慣れるという意味でも、実際に出題された問題に触れるのは有効な対策です。
とはいえ、知識無しで問題を解こうとしても当てずっぽうになるだけですので、まずは問題文を読んだ直後に解説を読む手順を繰り返し、基礎的な知識を身につけましょう。
なお、教材が古いと法令が変わっている場合もありますので、できるだけ最新の教科書・問題集を使うのがオススメです。さらに時間が十分にあるなら、通信講座や専門学校のコースを利用し、効率的な試験対策を教えてもらうのもよいでしょう。
私も新卒の頃から会社の強い指示によって受験をしました。勉強をする際は過去問10年分を複数回やり直し、150時間程度を費やした記憶があります。理系知識のバックグラウンドがあったため、比較的小規模な時間で済みました。
資格試験がはじめての人でも受験できるのでしょうか?
私も新卒の頃から会社の強い指示によって受験をしました。
勉強をする際、理系知識のバックグラウンドを持たない方は、数学や物理学の基礎知識を習得するところから始める必要があります。
『何が分からないかも分からない』方も多いはずです。
通信講座を受講したり、講師を雇わなければ、獲得に多大な労力を費やす必要がある資格です。
まとめ:必置資格のエネルギー管理士(エネ管)は注目!
エネルギーに注目が集まる現代において、エネルギー管理士は注目の職業のひとつです。試験の難易度は設備系資格の中でも屈指といわれており、膨大な勉強時間が求められます。
とはいえ効率よく勉強すればしっかり知識は蓄えられ、合格できる確率は高まっていきます。最短で成果を挙げられるよう、効率のよい勉強時間をしっかり積み上げましょう。
私は新卒採用から受験しており、入社初期の比較的時間に余裕がある時期に勉強ができました。
年度を重ねて社内で中堅となった場合、多忙な中でプライベートを確保しながら勉強時間を捻出しなければなりません。
したがって、勉強時間の確保が課題となる可能性が高く、通信講座などによって時間効率を高める手段も選択肢の一つです。
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