最近のニュースでアメリカ・トランプ大統領の高い関税政策が取り上げられていますよね?

自分には関係のない話だと思ってない?
ところがどっこい、この関税の影響は日本の建設現場にもじわじわと押し寄せてきているんです。
今回は、現場の電気工事士の視点からトランプ関税(鉄鋼やアルミへの高関税)が建設業界にもたらしている影響についてお話しします。
専門用語もできるだけかみ砕いて、実際の現場の実感を交えて説明するので、「自分ごと」として感じながら読んでみてください。


アメリカのトランプ関税の概要をおさらい
話題のトランプ関税について簡単におさらいしましょう。
トランプ前大統領は2018年、アメリカ国内産業を守るためとして鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%もの追加関税を課しました
関税は外国から入ってくる商品に国が税金をかけることです。海外のものの方が安いと自分の国で同じものを作ってる人が困るので調整してるんですね!


それが今回(2025年4月時点)は、日本に24%という高い関税をかけるというのです。
日本だけでなく、中国や東南アジア、EUにも関税をかけているのでアメリカと日本だけの話ではなく、世界全体を巻き込む騒動になっています。
建設業界への影響:材料費が長納期化して工期延長も??


では、その関税が僕たち建設業界、とくに電気工事の現場にどう影響しているのでしょうか?
この3つが現場にとっての痛いポイントです。それぞれ現場目線で解説します。
建設業界の材料費の高騰で泣きっ面に蜂「家も建てられない」
鉄鋼や住宅で使用する木材は建設資材として欠かせないものですが、トランプ関税によってその調達コストが今後も大きく変動していく可能性があります。
関税で海外から入ってくる鉄やアルミが軒並み値上がりすると、世界的な相場も影響を受けて材料の価格がグッと上がります。
実際アメリカでは関税発動後に鉄鋼やアルミの価格が上昇し、建設に必要な構造用鋼材から鉄筋、ダクトに至るまであらゆる資材のコスト増につながったと報じられています



材料が値上がりすると家を建てるのも高くなる現実
長納期化で工期に間に合わない?
高い関税によって海外からの安価な材料が入りにくくなると、今度は国内外で材料の奪い合いみたいな状況が起きることがあります。
その結果、必要な資材がすぐ手に入らず納期が遅れるケースが増える心配があります。実際、建設業界では「材料費が上がるだけでなく、プロジェクトの遅延や中止につながる可能性が高まる」と指摘する声もあります
1年前はケーブルが急に長納期化して工期延期になる現場もありましたが、今度はもっとひどいことになるかもしれません。
【速報:最大2割の値上げ?電線不足に追い討ち】
— リベルタ@電気工事士デポ (@denki_depo) February 29, 2024
電線不足が続いていますが、住電HSTケーブルから電気工事業者に悲しいお知らせです。
ハンカチを準備してご覧ください😭😭😭
↓↓↓… pic.twitter.com/jANz7uVc9B
「予算だから」と言われた見積もりで大赤字…悩む中小企業も?
材料価格の乱高下と納期の不透明さは、見積もり業務にも直撃します。
「予算用だから概算でいいよ」
なんて言われて作った見積がそのまま予算を通って、いざ手配をしようと思ったら大赤字……
価格が安定しないと、そんなことも起きてきそうです。建設業は、思ったよりも利益が少ない業界なので中小企業にとっては死活問題になりかねません。
実際僕も20年以上建設業界にいますが、見積期限をつけても建設業界では通用しないケースの方が多いです(泣)
過去に現場で実際にあったエピソード
では、こうした影響について実際の現場でのエピソードを紹介します。



材料費が上がったケースを紹介します。
実際僕が経験したケースですが、見積をして受注してから発注までに数ヵ月期間があったために、いざ手配をしようと思ったら20%もケーブル代があがっていたケースがあります。
うちの会社は元請けだったので発注した自治体には一応言いましたが……別でお金をもらえることもなく。あえなく材料費が赤字に。



納期遅延のケースも。
予定してたケーブルが突如入荷できず、電材屋に問い合わせたらまさかの半年待ち…
予定してた仕事ができず、お金も入りません。本当にもうどうしたら良かったのやら。誰か教えてください。
- コロナ禍による「ウッドショック」(2020–2021年)
新型コロナウイルスの影響で海外の製材工場が停止したり、物流網が混乱した結果、世界的に木材が不足しました。これでは住宅を建てるにもコストが高くなってしまいます。 - スエズ運河の座礁事故(2021年)
北欧からの日本への輸入が止まってしまい一時的に木材が手に入らなくなりました。
まとめ:関税での長納期化リスクへの備えは○○!
トランプ大統領の高い関税政策は遠いアメリカの話に思えますが、実は僕たち建設業にもすごく影響してきます。
では対策は?
結局どうすればいいの?
と、思うかもしれません。
ガッカリするかもしれませんが、対策は仕入れ先を増やしたり、こまめに材料屋さんと連絡をとって最新情報を得ることくらいです。
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また、当サイト『電気工事士デポ』の今日のひとり言では、銅ベースの情報も更新しています。材料の値段は利益に直結しますので、あわせてチェックしてくださいね。
では今日もご安全に!