電気って生活するうえで大事だよね。
毎日安全に電気を使うためには点検が大切。今日は高圧受電設備「キュービクル」の耐用年数と点検のことをお伝えするよ。
一般の家庭よりも大きな電力を必要とするビルや工場では、電力会社から高い電圧(高圧)で電気を供給して受電設備で低い電圧(低圧)に変えて使用します。
多くの電気を使う場合は、高い電圧の方が電力会社も需要家(電気を使う人)も効率が良いからです。
今回は、、高い電圧から低い電圧に変える受電設備「キュービクル」の耐用年数と点検についてお伝えします。
この記事でキュービクルの知識と実態をチェックすれば、現場でも役にたちますよ。
この記事は電気工事の未熟練者と需要家側(お客様)の電気担当者に向けて書いています。
コンビニにも設置されているキュービクルとは?
キュービクルの正しい名称は「キュービクル式高圧受電設備」です。
キュービクルの場合、電力会社から需要家に送られてくる電気は6,600Vと高圧になり、そのままではビルや、コンビニで使用できません。
ビルやコンビニで使用できる100Vや200Vの電気にするためにキュービクルが必要になります。
電力会社から高圧で電気をもらっている需要家は多くあります。
例えば、
- 工場
- オフィスビル
- コンビニ
- 病院
- ホテル
- 介護施設や老人ホーム
上記のように、電気を効率よく使うために多くの施設が高圧で受電しています。
電気の契約電力が50kW以上になると高圧(キュービクルが必要)になるよ。
参考ですが、電力会社から一般家庭に送られる電気は、電柱に備え付けられた柱上トランス(キュービクルと同様の変圧設備)によって、100Vまたは200Vまで電圧を下げていますよ。
キュービクルの耐用年数は15年は本当?運用の実態は?
キュービクルには変圧器のほか、高圧遮断器・避雷器など数多くの部品が内蔵されています。
いずれの部品も基本的には法定耐用年数15年とされています。
法定耐用年数は税法上の観点から定められているもので、必要なメンテナンスや点検を実施していれば20年以上使用し続けることもあります。
実際は30年近く使っているお客さんもいるよ。
環境や条件によるから一概に言えないけど、耐用年数は目安として覚えておこうね。
キュービクルの保安点検は必要?
キュービクル式高圧受電設備(キュービクル)を安全に使用するためには点検が必要です。
安全に使用を続けるためには、
- 1ヵ月に1回
- 3ヵ月に1回
- 1年に1回
上記の周期で法令点検を実施するように義務付けられています。
特に1年に1回の年次点検では、施設をすべて停電して大規模な点検をする必要があるので、一大イベントと言えます。
点検をしないと……
- 停電事故
- 電力会社への波及事故
- 感電や火災
上記のリスクが高まるので、決められた周期で点検が必要です。
実際に一番緊張するのは、点検が終わったあとに、もう一度電気を入れる(復電)するときなんだ。
工具の置き忘れや、だれか勘違いして電気設備の近くにいないか、しつこいくらい確認する必要があるよ。
キュービクル・高圧機器の耐用年数の目安
キュービクルやキュービクルの中におさめられている高圧機器の耐用年数の目安をお伝えします。
耐用年数の一覧表
下記にキュービクルの中に入っている高圧機器の名前と交換の目安を表にしています。
高圧機器の名前 | 交換の目安 |
柱上高圧期中開閉器 | 15年 |
高圧ケーブル | 20年 |
低圧開閉器(ブレーカー) | 20年 |
高圧交流負荷開閉器 | 20年 |
遮断機 | 20年 |
断路器 | 25年 |
変圧器(トランス) | 25年 |
進相コンデンサ | 25年 |
高圧ケーブルの耐用年数
高圧ケーブルの耐用年数の目安は20年とされていますが、ケーブルが布設されている環境で考え方が変わります。
ハンドホールの中が水で浸水していて、ケーブルが浸かりっぱなしの状態が悪いのはもちろんですが、ケーブル外皮の劣化が激しい場合は注意が必要です。
実際に取り組むかどうかは別にして、年次点検の際にメガーをかけるだけでなく、高圧ケーブルの絶縁劣化診断を行う方法もあります。
とにもかくにも、メガー(絶縁抵抗測定)は超重要!
ただし、年次点検のときに基盤がつながっている回路にメガーをかけると故障する可能性があるから注意してね。
変圧器(トランス)・柱上変圧器の耐用年数
変圧器(トランス)は25年となっていますが、実際はキュービクルの更新に合わせて取り換えになるのが通例です。
変圧器単体で調査を実施したい場合は、絶縁しているものが油の場合は、油の酸化を調べて劣化状況を調べることができます。
採油の際には、変圧器の中にボールペンやビス等の異物を落とさないように細心の注意が必要です。
低圧開閉器(ブレーカー)の耐用年数
一般的なブレーカーの耐用年数は20年とされています。
しかし、年次点検を実施しているときに、「1回OFFにしたら、復旧できなくなった」といった事例は良くある話です。
年次点検を実施する際は「今ブレーカーがONできれば良い」という考えになりがちですが、動きが悪い場合はお客様への積極的な取り換えのおすすめをしてください。
予防保全という言い訳
「電気工事業者から更新時期だと言われたけど、今使えてるしどうしよう?」
そのような相談を受けることがあります。
予防保全という便利な言葉があり”一定期間使用した製品は故障をしていなくても交換する”という考えです。
でも実際は、業者の営業トーク(おどし文句)の場合があるから、自分の会社や設備をしっかり相談できる技術者を近くにおいておく方がいいよ。
メーカーの部品の供給期間の問題もありますし、すべての予防保全を否定するつもりはありません。
ただ僕の経験の中では、普段は決められた契約の範囲でしかメンテナンスをしない業者が、日ごとの提案活動もせずに、思考停止で営業トークのネタに使っているケースもありました。
需要家であるお客様も、自分のインフラを共に守ってくれる業者さんとお付き合いしたいものですね。
まとめ:耐用年数は目安にして点検をしよう
キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)の耐用年数や点検と実態についてお伝えしてきました。
電気は一般家庭だけでなく、ビルやオフィス、すべての施設でなくてはならないインフラです。
電気は重要設備です。
需要家の電気担当者が、現場に出て報告書をチェックすることが、なによりも予防保全になりますよ。
お客さん、電気業者、キュービクルのみんなが、長く良いお付き合いをしよう!